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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第8章 ◆Tresor(神田/マリ×ミランダ)



「……」

「? どうしたの神田」

「…なんでそいつが此処にいやがるんだ」


 無言で睨み付けていれば、そんな神田の視線に気付いた雪がティムキャンピーを肩に乗せたまま見上げてくる。

 この金色の特殊ゴーレムは、アレンのお供をしているはず。
 何故此処に、それも雪の服の中なんかにいたのだろうか。


「ああ、うん。この間風邪をひいた時に、アレンがお見舞いに来てくれて。その時ティムを貸してくれたの。一人で寂しくないようにって」

「……」


(ガキかよ)


 ついそう突っ込みそうになって、辛うじて沈黙を守る。
 神田自身はそう感じたことはないが、弱っている時は人恋しくなるものだよ、と昔にティエドールに聞かされたことはあった。

 しかしいつアレンは見舞いに行き、お供のゴーレムを監視(神田にはそうとしか思えなかった)なんかに就かせたのか。
 神田も何度か風邪をひいて寝込んでいた雪の部屋に足を運んでいたが、その間金色のボディは一度も目にしなかった。

 まさかこっそり紛れ込んでいたのか。
 雪の布団の中に(というか服の中に)。


「……」


 みしり、と更に神田の眉間の皺が深く濃く刻まれた。

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