第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「そんなこと言われるともっと気になるさ…ちょっとでいいから教えて」
「だーめ。秘密です」
なっと催促してくるラビに、首を横に振るリナリーの意思は固い。
リナリーが願い事に書いたものは、半分冗談で提案してみたものだった。
どうせサンタクロースなんて来やしない。
今まで一度だって現れてはくれなかった存在を、今更認めることの方が難しい。
そんな冷めた気持ちで書いたもの。
貰うことなんて不可能だと思ったものを、敢えて願いに記した。
AKUMAとの激しい戦闘で炎に巻き込まれたリナリーは、長かった黒い美髪をその際に失った。
ベリーショートになってしまったリナリーを目にする度に、最初は号泣していたコムイ。
家族である彼を思えば元の髪に戻りたいとも思うが、それがあって今の自分がいるのだと思えば、受け入れられる。
この髪を失って手に入れたのはAKUMAとの戦闘での勝利。
そこにはアニタを始め沢山の犠牲があったが、それでも救えた命もある。
戦い歩んできた道を形として記したようなものだ。
それと同じことを、サンタクロースはリナリーに伝えてくれた。
アレンやラビへのメッセージとは違い、綺麗なクリスマスカードに長々と綴られていた文章。
その姿は誇れるべきものだから自信を持ちなさいと励まし、充分に今でも魅力ある女性だと褒め称えてくれていた。
それと同時にコムイの作る強力育毛剤には絶対に手を出すなと忠告文も添えられて、まるで母親の手紙のようだと、母を知らずともつい笑ってしまったものだ。
カードと共に包まれていたプレゼントは、お洒落なオーガニックシャンプーセットと一枚の鏡立て。
綺麗な宝石が散りばめ飾られた鏡の中に映る自分は、まるでそのままで綺麗なのだと褒めてもらえているようにも思えた。