第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「ま、普通は手に入らねぇもんだし。仕方ねぇさ。それにオレもサンタからメッセージカードが入っててさ」
「なんて書いてあったの?」
「"情報は民主主義における貨幣である"」
「……どういう意味ですか? それ」
「トーマス・ジェファーソンの残した言葉の一つさ」
その名を口にしても、アレンとリナリーにはピンとこなかったらしい。
そんな二人に苦笑しつつ、ラビは丁寧にその著名人のことを伝えることにした。
「トーマス・ジェファーソンってのは、独立宣言書の主要人物の一人さ。多分サンタはオレの背中を押そうとしてくれてたんじゃねぇかなーって」
ブックマンとして一にも二にも大事なことは膨大な知識量を持つこと。
そんなエクソシストとは別にブックマンの本職を持つからこその望みだったが、サンタクロースはどうやらラビの真意を把握していたらしい。
メッセージに唯一書かれていた一文の意味をすぐに読み取ったラビは、柄にもなくカードを手に頬をだらしなく緩めてしまっていた。
そんな弟子を朝から見たブックマンは、気持ち悪いと他人事のように呟いていたが。
となるとプレゼントの出所はブックマンではない。
本当にサンタクロースと呼ばれている妖精なのか。
「へぇ。じゃあ僕と一緒ですね」
「…ふふ」
感心したようにアレンが呟くと、その隣でくすくすとリナリーが笑う。
何か可笑しい所でもあったのかと、アレンとラビが不思議そうに目を向ければ、違うのと彼女は笑顔で首を横に振った。
「私にもメッセージが届いてたの。サンタさんから」
「リナリーにも?」
「へー、なんて書いてあったんさ?」
「…秘密」
「え?」
「なんで?」
「私だけにくれたサンタさんの言葉だから」
そう両手を後ろで組んでふんわりと笑うリナリーの顔は、愛らしいものだった。