第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「まさか本当に…サンタが現れるなんて…」
「偶然なのかな…」
「じゃねぇと思うな~」
まだ興奮冷めやらぬ様子で呟く二人の元に、にゅっと入り込んでくる第三者の声。
「だってオレんとこにも来てたし」
「ラビ」
「メリクリ~お二人さん」
アレンとリナリーが同時に目を向けた先には、見慣れた眼帯に赤毛の青年。
ひらひらと手を振る彼もまた、にんまりと笑みを浮かべていた。
「それって…プレゼントが届いてたってこと?」
「そーなんさ。南の言う通りに、靴下ん中に願い事書いて枕元に置いてたら、そこに今朝プレゼントが置いてあって」
「ラビもってことは…偶然、じゃないみたいね…」
どうやら今朝の驚きの光景は、三人共に共通のものだったらしい。
12月25日。
世間ではクリスマスと謳われているが、エクソシストとして働いているアレン達からすればいつもと変わらぬ一日。
しかしそんな寒い朝に目覚めてみれば、いつもとは違う光景が目に飛び込んできた。
それは丁寧にクリスマスカラーで装飾された、プレゼントの包み。
枕元に届いていた見知らぬ誰かからのクリスマスプレゼント。
そんな初めての経験に、三人共に心底驚きを隠せなかった。
「架空の存在かと思ってたけど…マジでサンタがやって来たってことさ? コムイとかの仕業じゃなくて?」
「コムイさんがサンタなら、リナリーだけじゃなくなんで僕達にまでプレゼントをくれるんですか」
「んー…まーな。確かに」
「それに僕見たんですよ。ちらっとだけだけど。願い事を書いた日の夜に、赤い服を着た白髭の老人が部屋の中にいたんです。あの時はただの夢かと思ってましたけど…」
「じゃあ…本当にいたんだね…サンタさん」
アレンとラビとリナリー。
食堂の隅っこで三人、思わず顔を見合わせて驚きと共に頷き合う。
どうやら本当に、正真正銘サンタクロースと呼ばれる老人が自分達の部屋に訪れたらしい。
クリスマスという聖なる日に。