第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
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──12月25日
世界各国でクリスマスと謳われる、一年に一度、一番賑やかな一日と言っても過言ではない日。
そんな寒い朝に、バタバタと広い教団の廊下を走る影が一つ。
「おはようございますっリナリー!」
「あら、おはようアレン君。メリークリスマス」
バタバタとそのまま食堂に駆け込んできた真っ白な頭の少年は、近い年頃の少女を見つけると慌てたように声をかけた。
その声は心なしか弾んでいるようにも聞こえる。
貴重な未成年エクソシストである二人、アレンとリナリー。
「あっはい! メリークリスマスですねっ」
「どうしたの? そんなに慌てて」
「それが…っ聞いて下さいリナリーっ」
「うん、聞くから落ち着いて。なぁに?」
「今朝起きたら枕元にプレゼントが置いてあったんですよ! 赤と緑のラッピングがされた!」
「えっ」
両手の拳を握って、乱れた息も整えずに笑顔を浮かべて言い切るアレン。
その言葉に、リナリーは驚き声を上げた。
「ほんとにっ?」
「はい! 僕もう吃驚して!」
「そ、それならねアレン君。私の所にも届いてたのっ」
「え?」
「クリスマスプレゼント!」
「そうなんですかっ?」
「うんっ」
それも束の間。
アレン同様、ぱっと花が咲くような笑顔を浮かべたかと思うと、リナリーが返した言葉は同意を示すもの。
そんなリナリーのはしゃぎ様に、今度はアレンの顔が驚きへと満ちた。
「じゃあもしかして…リナリーの所にも…?」
「うん。多分…あれだよね。南さんが言ってた──」
「「サンタクロース」」
思わず二人で人差し指を立てる。
考えられる人物と言えば、あの赤い服の老人しかいない。