第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「き…君は願い事を用意していなかったみたいだね。無欲なことは良いことだ。そんな君は良い子リストに追加しておこう!」
「何意味わかんねぇこと言ってんだ」
とりあえず沈黙を作っちゃ駄目だ。
ここは話し続けて、逃げる隙を見つけないと。
それにプラスの言葉なら、鬼もきっと怒りはしないだろう。
言葉だって通じるはずだろうし…きっと。
「そんな君にはぜひとも明日、プレゼントを送らせて欲しい。君の望む物を聞かせてくれないかい」
「…俺の望むもの?」
ええそうです。
蕎麦だって髪紐だってなんだって用意しますから。
それだけ聞いたらすぐ去りますから。
願い事を叶えてあげるって言ってるんですだから六幻を手に取るのはやめて下さいちょっとねぇほんとそれ駄目。
「ならテメェの首を寄越せ」
一番駄目なやつキター!
何、首って!
妖怪首置いてけですか!
その台詞が許されるのは島津家の人だけだから!
「な…ナマモノは適応外なんだ仕方ない今回はナシと言うことでッ!」
「逃げるであるッ!」
「って待てコラァア!!」
咄嗟にクロウリーに手を伸ばせば、流石空気が読める大人。
私の手を取って部屋から脱しゅ…お、追ってきてるよ鬼が! 助けて!!!
「首寄越せつってんだろ人の安眠邪魔しやがって!!!」
「「ギャーッ!!!!」」
だからその台詞許されるの島津豊久だけだから!!!!
「ぜ…っぜぇ、は…っ…し…死ぬ、死ぬかと、思った…殺され、かと…っ」
「お、同じく、である…」
誰もいない教団の通路の隅っこ。
なんとか六幻抜刀して追いかけてくる鬼から逃げ遂せたのは、すっかり朝日が昇った後のことだった。
寿命縮まったほんとに…っ
誰だサンタになろうなんて言い出したのは私か阿呆なこと言い出したもんだ全く。
「ハァ……それで…どうするであるか? 南。神田の願いはわからず終いだったが…そもそもアレン達の願いも無謀なものばかりだったような…」
「……」
只今の日付は12月24日。
今日の夜中にはプレゼントを届けなきゃいけないから、タイムリミットは数十時間。
……ほんと阿呆なこと言い出した昨日の私を呪いたい。