第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
い、今の…空耳、かな?
もしかして空耳かな?
あそっか空耳かな!
よし逃げよう。
「それじゃ行」
「待てコラ」
「ぐえッ!」
潔く一歩踏み出そうとすれば、肩に食い込んだ何かが強く引っ張ってきた。
何かじゃない、大きな手だ。男性特有の。
無造作な動作には遠慮なんてものはなく、肩に食い込む指が痛い。
というか凄く痛い!
こ、これ確実に鬼ですよね…後ろにいるの鬼ですよね!?
起きちゃったのかな流石教団屈指のエクソシスト!
「南…ッ」
「あ?」
「!」
こちらを見て青褪めているクロウリーには、その鬼が見えているんだろう。
そんなクロウリーが私の名前を呼べば、真後ろの殺意のこもった声が反応を示した。
ま、まずい私だってバレる…!
身バレ=確実な死
それだけは絶対にあってはならない。
「ふ…ふぉっふぉっふぉっ! 見つかってしまっては仕方ない。私はご覧の通り、君のような頑張ってる子供に夢を与える為に来た、妖精なのだよ」
「……は?
咄嗟に口髭の中に隠していた音声変換装置をONにして、慌てて振り返って笑いかけ──…怖!
振り返って目が合ったのは、射殺さんばかりの鋭い二つの眼孔だった。
寝起きだからかな、かっ開いてるよ。
瞳孔開いてるよ思いっきり。
いつもの長髪を一つに結んでいないから、若干貞○のようにも見える。
男版◯子。怖いよ貞○。
初めて見た時は若干トラウマになるよねあのラストの目玉ドアップシーン。
「…ふ、ふぉっふぉっふぉっ…」
恐怖はあったけど、なんとかサンタだと誤魔化して逃げないと。
冷や汗を体中から噴出しながらも、なんとか震える声を抑えて笑ってみることにした。
「……」
「…ふ…ふぉっふ…ぉ…」
あ、なんか凄い睨まれてる。
逆に凄い殺気立った気がする。
どうしよう怖い。
怖い。