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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)




Case4:神田ユウ










「……」

「……」


 色々と前途多難ではあるけれど、やっと見えてきた願い事調査の終わり。
 最後の一人は、エクソシストティーンズ組の一人、色んな意味で一番の問題児。
 美形の鬼、神田ユウ。

 …の自室のドアを前に、私とクロウリーはかれこれ30分は佇んでいた。
 ………先に進む勇気が足りない。


「…ほ、本当に行くであるか? 南」

「も…勿論。一人だけ除外とかできないでしょ。仲間外れなんてしたら可哀想だし」

「…神田は気にしないと思うである…」


 うん、それは私もそう思う。


「そもそも願い事なんて用意しているのかどうか…」


 うん、それも激しく同意する。

 でも行かなきゃ。
 一人だけ除け者にはできないし。
 もし神田がアレン達の言うことを聞いて靴下を用意していてくれたら…くれたら…たら……………天変地異だな。

 明日は蕎麦でも空から降ってくるかもしれない。


「ええい、とにかく行くよっ」

「! 一人で行くのは危険である…っ」


 意を決して、地獄の門を開ける。
 30分も躊躇とか時間を掛け過ぎた。
 そろそろ明朝の時間だし、急いで願い事を確認しないと。


 ギィ…


 微かに軋む音を立てて、ゆっくりと開く地獄の門。
 恐る恐る中をクロウリーと共に覗けば、其処は真っ暗闇。
 アレンの部屋もコムイ室長の実験室だったからオドロオドロしかったけど、それ以上に何故か深い闇の世界に見えた。

 …なんでだろう、精神的なものかな。

 というか窓ガラス、罅割れてるんだけど…何故。
 置かれてるのはベッドと棚が一つだけ。
 後は剥き出しのコンクリートの床と壁。
 全体的に冷たい部屋。

 前にコムイ室長の薬で小さくなってしまった時に、一度寝泊りさせてもらったことはあるけど…ほとんど体調不良で寝てたから、こんなふうに部屋を興味深く見たりはしなかった。

 …夜ってだけでこうも雰囲気変わるんですね…怖い。

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