第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
Case3:リナリー・リー
「…なんだろう。今までで一番まともな答えを期待できそうな気がする…」
「…っ」
「? 何してるのクロウリー。そんなドアの前で。中に入って来てよ」
「む、無理である…っ若い女性の自室に、深夜に勝手に踏み込むなどと…っ」
「大丈夫だって、変なことする訳じゃないんだし。私もいるから」
「む、むむむ無理である…っ南一人で確認して欲しいであるッ」
三人目はエクソシストティーンズ組の紅一点、リナリーの部屋。
シンプルでいて且つ、女性らしさも忘れていない可愛らしい小物が所々目を惹く、センスの良い女性の部屋だった。
謎のチェーンソーや大量の文献なんかはない。
居心地の良い部屋だなぁ。
だけどそんな部屋の中には、私一人だけ。
どんなに言っても手招きしても、ぶんぶんと首を横に振り続けるクロウリーはリナリーの部屋の入口に突っ立ったまま。
紳士な性格だからなぁ…クロウリーは。
良いことではあるけど…これは簡単に折れそうもないな。
仕方ない、私一人で手早く見て終わらせるかな。
「ありがとう、リナリー」
すやすやと穏やかに眠る美少女の寝顔に囁いて、枕元に置かれているシンプルな黒い靴下…否、ニーハイソックスを手に取る。
ニーハイ好きだもんね、リナリー……でもこの長ったらしい靴下の奥に願い事をしまうのは…少し…いや大変取り出すのが面倒臭い。
何故普通の靴下にしなかった嫌がらせか。
「南、まだであるか…っ?」
「も、うちょっと…っ」
腕を深く突っ込んで、同時にニーハイを託し上げてなんとか願いの紙を取り出す。
リナリーのことだから、アレンやラビみたいな無謀な願い事はしないでしょ、とどこか安心しつつ紙切れを開いてみた。
┏━━━━━━━┓
┃毛。 ┃
┃ リナリー ┃
┗━━━━━━━┛
「……」
「……な、なんて書いてあったであるか…?」
「……」
「…………南?」
「………うん」
気にしてたんだね…ツインテールが燃えちゃったこと…。
……でもどないせいっちゅうねん…。