第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「それより南、急いで願い事を確認するである」
「う、うん」
ぎこちなくなってしまった私の反応に、でもクロウリーは気付かなかったみたいで突っ込まれはしなかった。
二階建てベッドの上から、ごうごうとブックマンの鼾が響いてくる。
常に騒音がある状態は慣れてるのか、傍でひそひそと話してもラビが起きてくる心配はなく。
そっと布団を元の位置に戻してラビの顔を隠すと、靴下の中にあった紙切れを開いてクロウリーと覗き見ることにした。
そうだ、今はサンタなんだから。
そっちに意識集中させなきゃ。
一旦忘れよう、ラビの気持ちは。
平常心、平常心──
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┃アメリカ独立宣言書の原書が欲しい ┃
┃ ラビ ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
「だ…ッ」
だからできるかそんなもんッッ!!!!
独立宣言書の原書て、国立公文書館で重要管理されてるものでしょーが!
持ってくることなんて不可能!
誰であっても触れません!
いくらヴァチカンから要請かけたって無理だと思うよなんでそんな難易度高い願い事持ってくるかな…!
新しいヘアバンド下さい、とかで良いだろがぁあああ!!!!
「…っ…」
「よ、よく耐え切ったである、南…」
「………次。」
…平常心、平常心。
此処で叫んだら確実に起きる。
ラビだけじゃなくブックマンでさえも。
そしたらサンタ計画は全てパァだ。
次だ次、さっさと次に行かないと。
ぐしゃりと握り潰した願い事の紙に、今度はしかと私の心中を察したんだろう。
クロウリーは顔色を悪くしつつも、何も聞いてこようとはしなかった。
うん、出来た大人だ。