第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
Case1:アレン・ウォーカー
食堂の隣に位置する、元コムイ室長の実験室だった部屋。
あの問題をよく起こす科学班の上司、コムイ室長の実験跡地と思えば誰もがその部屋を借りることを恐れたけど、アレンだけは違った。
なんせ隣が食堂なのだ。
方向音痴なアレンが、迷わず辿り着ける位置にある部屋は、大食漢な彼からすれば願ったり叶ったりなベスト物件。
それからはアレンの自室として、その部屋は大いに活用されることとなった。
「し…失礼します…である」
「しー。クロウリー、挨拶は要らないから」
カチャリと恐る恐るドアノブを回して、部屋の中に侵にゅ…じゃないお邪魔する。
狭い一人部屋の隅には、アレンが寝ているベッド。
きちんと整頓されてる部屋みたいだから、何かに躓くような心配はなさそうだけど…………壁に、血飛沫みたいな跡が広がってるんだけど。
何あれ。
室長がやらかした跡かな…部屋の隅には謎のチェーンソーなんて置いてあるし。
あれ絶対アレンの私物じゃないよね。
全体的に怖いです、この部屋。
思わず逃げたくなる衝動を抑えて、なんとかベッドの傍へと気配を殺して歩み寄る。
すやすやと天使のように愛らしい寝顔で眠るアレンの枕元には…あった!
ボロボロだけど、確かに小さな靴下が!
私の言う通り、願い事を書いてくれたんだ…。
………良い子だなぁ、アレンは…。
「……ッッ」
「…南、何してるであるか」
あ、いけない。思わず靴下を握り締めて感極まってた。
そ、それより願い事確認しないと…っ
ドキドキと高鳴る胸を抑えて、そうっと靴下の中を確認する。
すると一枚の折り畳まれた紙切れが出てきた。
少し緊張するな…アレンはどんな願い事をしたんだろう。