第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「皆まだ夢見て良い年頃なんだから。望めばプレゼントは貰えるの」
「南? 急に何言ってんさ。流石にもう夢見る年頃じゃねぇって」
「でもちゃんと信じてないと、サンタはやって来ないから。ちゃんと信じることが大事!」
「って聞いてんさ?」
「あのー…南さん? 僕らサンタはもう…」
「そして願い事を書いた紙を靴下に入れて、枕元に置いておくこと! そしたらクリスマスの夜にはサンタがプレゼントくれるから! 夢見る子供の下には訪れるものなの!」
苦笑混じりに否定しようとするアレン達の言葉を遮って、高らかに宣言してやった。
いるんだから、サンタ。
裕福な家庭でなくたって、人並みな生活を送れていなくたって、平和の中で暮らせていなくたって。
サンタは平等に夢を与えにやってくる存在。
まだ10代のアレン達に、こんな冷めた目で見てもらいたい存在じゃない。
「いい? 今日中には靴下用意して願い事書いて入れておくんだよ。ハイ約束! 絶対ね!」
「は? 急になん──」
「神田にも伝えておいて。それじゃっ!」
「えっ! 神田にもっ!?」
「南さん待って!…って、行っちゃった…」
「なんさ急に…訳わかんね…」
唖然と取り残されたアレン達をそのままに、私は足早にとある人物の元へと向かった。
胸の内に大きな決意を抱えて。
「あ、いたいた。ちょっといいかな」
「南? なんであるか」
「ちょっとさ、ボランティア活動でもする気ないかな。聖なる夜に」
「ボランティア活動…?」
「うん。善人なる子供達の為に。明日はクリスマス・イブでしょ」
「おお、それは素敵な考えであるな!」
よし。物の5分で交渉成立。
持つべき仲間は善人なる大人だと思う。