第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「サンタピエロに扮して、プレゼント配りのバイトをしたこともありますし」
「へぇ、アレン君そんなこともしてたんだ」
「サンタなんて架空の人物さ。本の中だけの存在さな~」
「……」
和気藹々と楽しそうに話すアレン達に、なんとなくその話の中に入っていくことはできなかった。
三人共、当たり前のように現実を受け入れてるけど……少しくらい、夢を見たってよかったはずなのに。
サンタは世界で平等に子供に夢を与える存在。
でもラビの言う通り、彼は結局は架空の存在だから。
サンタの代わりになるのは、親であり親戚であり子供にとって身近な存在。
そんな存在が身近にいなければ、サンタがやって来ないのも道理。
「それより25日以降の任務の方が気掛かりですよ。フィンランドでしょ? この時期は絶対寒さ厳しいと思うんですよね…」
「おー、それこそサンタの国じゃん。任務先で出会えたりすんじゃね?」
「ふふ、じゃあ何かお願いしたらプレゼントでも貰えるかな」
「……貰えると思うよ」
「え?」
「は?」
「…南さん?」
がたんと椅子を引いて席を立つ。
気付けばそんなことを口にしていた。
皆の目線が、一気に私に集中する。
その表情はどれもきょとんとしたもの。