第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「それにサンタなんて夢見るのは、10歳前後の子供くらいさ」
「私は兄さんと二人暮らしで裕福でもなかったから…サンタなんて来たことなかったなぁ」
食後の紅茶を口にしながら、思い出すように呟くリナリー。
何気なく発した言葉だったんだろうけど、なんだか少しだけ胸が痛んだ。
コムイ室長と二人きりで、慎ましく暮らしていたというリナリー。
それからすぐにイノセンス適合者として、教団に無理矢理連れて来られただろうから。
教団でサンタなんて存在に夢見る余裕なんて、きっとなかっただろうと思う。
「オレもブックマンのジジイとガキん時は修行の旅してたし。サンタなんて無縁の生活だったさ」
「ああ、そっか…」
そういえばそうか、ラビはブックマン一族として世界各国を旅して回っていた身。
戦争の記録ばかりしていて…平和とは程遠い生活だったんだろうなぁ…。
「僕もそのくらいの歳には、日銭稼いで日々の生活を送ることで精一杯でした。師匠の元で暮らすようになってからは、寧ろギャンブルと酒と女性の…地獄の、日々で…ッ」
「お、落ち着いてアレン…っ心を静めて!」
そういえばそうだ、アレンもクロス元帥の元でギャンブルとイノセンスの修行の日々に明け暮れてたって聞いた。
ぷるぷると震え始めるアレンを慌てて落ち着かせる。
クロス元帥の借金って言葉は一番聞かせちゃ駄目な言葉だよね、アレンには…。
じゃあこの分じゃ、もう一人この教団で未成年に入る神田もサンタなんて信じてないんだろうな…。
……。
…うん、神田が一番可能性低いか。
サンタなんて信じて靴下用意してたら逆に引く。