第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
始まりは、アレンの一言だった。
「サンタ? 信じてませんよ」
まだ幼さの残る可愛らしい顔立ちで、にこりと笑う様はまるで天使のよう。
投げかけてくる声も穏やかで優しい。
にこにこと天使のような微笑みを向けながら、それでいてアレンはばっさりと子供の夢を切り捨てた。
「…え?」
「だからサンタでしょ? 赤い服に白い髭の、煙突から家庭内不法侵入してくるって言う老人」
いやいや不法侵入って。
そういう言い方すると、ただの強盗お爺さんみたいに聞こえるから。
やめよう、そういう表現は。
世のちびっ子達のサンタの夢が壊れる。
「世界中に子供は星の数程いるのに、一日でどうやって世界中回って子供の靴下に望みのブツを押し込んでいくんですか。どう考えたって不可能です」
「ア…アレン…ブツを押し込むって言い方、やめようか…うん」
それも悪い響きにしか聞こえないから。
押し付け行為にしか聞こえないから。
サンタさんは夢を配り歩いているんです!
「南、アレンに夢見たって無駄さ~。ある意味オレらん中で、一番現実主義だと思うぜ?」
もりもりと目の前の大量の朝ご飯を消費していくアレンを唖然と見守っていると、隣で軽い朝食を平らげていたラビがこれまた軽い笑顔で話題に突っ込んできた。
此処は教団の朝の食堂。
そして目の前の席にはアレン、隣にはラビ。
反対側にはリナリーだって座ってる。
今日は12月23日。
なんとなしに食堂で見つけたティーンズ組に、そういえば明日は世界中の子供が心踊る日だったと、何気なく問いかけてみた。
"皆は明日、サンタに何をお願いするの?"と。
すると返されたのは、物の見事なサンタ存在否定論。
そして現在に至る。