第6章 Merry christmasの前にⅠ【アレン】
「何?」
「ううん……綺麗だなって。そう思っただけ」
「綺麗?………それ、僕?」
「うん。アレンくんの髪、雪みたいに真っ白だから。朝日に照らされてキラキラしてる。ダイヤモンドダストみたい」
「…そう、かな」
「うん。綺麗」
真っ直ぐに僕を見て笑うから、つい照れ臭くなって頬が熱くなる。
そんな僕を見て、椛はまたふふ、と口元に手を添えて笑った。
「…椛の方が綺麗だと思う」
「え?」
「僕には、雪の結晶より見ていたいものだから」
「アレ──」
きょとんと瞬く瞳。
その目が不思議そうな色を灯している間に、肩に手を添えて近い顔の距離を縮めた。
さっきはできなかったから、今度はしっかりと唇を重ねる。
まだ部屋の温かさで余韻残る柔らかく温かい椛の唇を感じて、そうと顔を離す。
間近に見えたのは、微かに赤く色付く頬。
…うん。やっぱり、
「椛の方が綺麗です」
「…至近距離でそんな笑顔浮かべないで…」
本音を笑って口にすれば、ぷしゅうっと音を立てて赤い顔を椛は俯かせた。
なんでこんなに可愛いんだろう、この恋しい人は。
口元が自然と緩んで仕方ない。
「ごめんなさい、つい本音が出ちゃって」
「………クリスマスの意味は、プレゼントを開くこと以上に心を開くことにある」
「なんですか? それ」
「……誰かの格言、だったかな…確か。ジャニスなんとかって人」
「へぇ。粋なことを言いますね」
「でも当たってると思うの」
今のアレンくんがそうだから、とまだ少し赤い顔で見上げてくる椛に、成程と納得してしまった。
確かに、今日はいつも以上に色々と素直になれそうな気がする。