第20章 Sweeter than SWEETS
「おーちゃん…」
おーちゃんの短い言葉からその裏にある感情を読み取りたいっていつも思う。
俺は翔ちゃんや和みたいに鋭くもなければ頭も良くないから…。
でも…一つ分かる。
おーちゃんは今もどこかで自分を責めてる。
そして一人でいつも前に立ってみんなを守ろうとしてるんだ…。
傷つけたくないって気持ち…、嬉しいけど…さ?
そろそろその頑なな気持ちを溶かしてよ。
また俯いちゃったさとちゃんの髪の毛に指を埋める。
「さとちゃん?
ねぇ、こっち見て?』
それでも俯いたままのさとちゃん。
「俺の顔、見るのも嫌なくらい嫌いになっちゃった?」
そんなわけないもんね?
俺の一言にガバッと顔を上げたさとちゃん。
顔を濡らす涙の筋に唇を滑らせる。
「ねぇさとちゃん…。
大人になったんだよ、俺たち。
もう誰かが引っ張るとかじゃなくてさ、お互いの歩調をうまく合わせて、リズムよくすすめるようになったんだよ」
「まさ…?」
「あの頃とは違うよ。
ちゃんとみんなで進んできたんだよ。
みんなでね、支え合いながらずっとここまで歩いてきたんだよ」