第5章 旧い夢 【悪い夢 side S】
智くんのことが気になる。
まだあの寒い部屋に
一人でいるんだろうか?
でも…
今の自分になにが出来るかわからない。
それでも朝は来るし仕事もある。
まずはきちんと仕事をして
智くんが戻ってくる場所を
守らないとと思う。
今日の仕事先は都内にあるスタジオ。
いつもの様に楽屋に入る。
楽屋での定番の位置に座り、
ほかのメンバーが来るのを
新聞を読みながら待っていた。
N:「翔さんおはよう」
「ん、おはよー」
N:「今日も早いね」
「道路が空いてたからね」
嘘。
ほんとは智くんが来たときに
一人にしたくないから早めに来てた。
N:「ふーん、そうなんだぁ」
ちょっと含みのある言い方をしたニノ。
そのままいつもの位置に座って
ゲームを始めてた。
しばらくして相葉ちゃんが来て、
松潤が入って来た。
1人足りない楽屋。
みんなの目が時々その空いた場所を見る。
みんな口数も少なく、
いままでのにぎやかな楽屋とは
大違いだった。
あの日からずーっとこんな感じ。
慣れないし、慣れたいとも思わない。
【コンコンコン】
楽屋の薄いドアからノックの音が聞こえた。
潤くんが「はーい」って返事をした。
なかなか開かないドア。
いたずら?って思った瞬間、ドアが開いた。
そこには…智くんが立っていた。