第20章 Sweeter than SWEETS
コンサートも無事に1箇所目を終え、ようやく一息つけると思った夜。
同じく緊張の解けた潤ちゃんが訪ねてきた。
東京用にマイナーチェンジするって言ってたから俺の担当部分の打ち合わせかなぁなんて思ったけど…ほんとに飲みに来ただけらしい。
部屋にいるとJrの子たちが誘いに来るらしくて、そこから逃げてきたって。
珍しいと思ったけど、札幌来てから毎晩のようにJrから声が掛かってるって…。
そりゃ逃げたくもなるか?
別に俺たちがJrのキャスティング権を持ってるわけじゃないけど潤ちゃんのステージ案によってJrの人数も変わるからなぁ…。
そんなことをわかっちゃうようになったのを悲しいと思うべきかそれとも成長と取るべきか…。
難しいところだなぁってしみじみ思った。
二人でどうでもいいことを話しながら何本か缶を開けたところで「ごめん」って一言ことわりを入れた潤ちゃんがスマホを弄り始めた。
交友関係の広い潤ちゃんだからコンサート終わったのを見越して連絡してくる人もいるんだろうなぁ…。
お気に入りのビスケットをつまみながらなんとなく潤ちゃんを見ていた。
「雅紀…あのさ?」
潤ちゃんがスマホから顔を上げると俺をみた。