第20章 Sweeter than SWEETS
しばらくドアの前で立ちつくしていた僕。
しんとした部屋の廊下の空気に逃げ出したくなる。
ドアノブに手をかけてふと気がついた。
僕…部屋の鍵…持ってきたっけ?
いや…それどころかスマホも…。
一応着ていた部屋着のポッケを探さてみてもあるわけもなく…。
やられた…。
翔くんたち…絶対後戻り出来ないようにしたんだ…。
もう…そんなことしなくても…ちゃんと…謝るのに…。
完全にお膳立てされて、僕は部屋の奥に進まざるを得ない状況になった訳で…。
ひとつ大きく息を吸って廊下の先にある空間に向かう。
小さなリビングに繋がる部屋の扉は僕が泊まってる部屋と同じ…。
小さく入ったガラスから溢れる明かりがまだ、相葉ちゃんが起きてると伝えてくれるようだった。
その扉に拳を当てて小さくノックする。
次の瞬間、すっとドアが開く。
ドアを挟んで立ちすくむ僕と相葉ちゃん。
多分そんなに時間は経ってないはずだけど…すごい長い時間が経ったと感じた頃、相葉ちゃんが我に返ったように声をだす。
「おーちゃん…どうぞ?」
そう言われて僕も足を動かした。
「おーちゃん…あの…ビールでいい?」
そう言いながら作り付けの冷蔵庫を開けようとする相葉ちゃんを止めた。