第20章 Sweeter than SWEETS
「智くん?」
後ろから突然声をかけられて振り向くと翔くんとニノが僕を見てた。
「ほら、これ。
必要でしょ?」
微笑みながら翔くんが差し出すタオル。
単純に受け取ればいいのになぜか動けずにいた。
「ほら、もう、ずぶ濡れじゃん、おじさん」
からかう様にいうのに柔らかな表情で翔くんの手からタオルを取ると僕のことをタオルで包む。
いつもの柔軟剤の香りになんだかわからないけど気持ちが落ち着いていく…。
「智くん、とりあえずメイク行こうか?」
「そうそう、そろそろ行かないと潤くんがキレちゃうよ?」
ニノに言われてはっとなる。
あと少しで本番なんだ…。
「智くん、終わったら話そうか?
そろそろ限界でしょ?」
「だね、おじさんイライラしてるもん。
ちゃんとさ、聞いてやるから」
二人が当たり前のように言ってくる。
え?なんで?
「『なんでわかるの?』って思ったでしょ、今」
「わかるに決まってるでしょ?
私、あなた専属のメンタリストなんだから」
「伊達に長い間、智くん専門通訳を名乗ってる訳じゃないからね?
ほら、行っておいで?」
背中に翔くんとのニノの温かい手を感じる。
言われるままにメイクさんの待つ控室に向かった。