第20章 Sweeter than SWEETS
多分…みんな突然のことに驚いたんだと思う。
相葉ちゃんの紅白単独司会も…体を折り曲げるように僕たちに頭を下げた相葉ちゃん自身にも。
人間、驚きすぎると咄嗟に何も言えなくなるんだね…。
時の止まった部屋。
その止まった時を進めたのはニノだった。
「なんて顔してんだよ、あいばか!
良かったじゃん!すげーじゃん!」
ニノが相葉ちゃんに飛びつく。
「そうだよ、すごいことじゃん!
めでたいことじゃん!
そっかぁ…紅白単独司会かぁ…。
相葉さんすごいよ!
やべ、俺がドキドキしてきた!」
松潤が相葉ちゃんをハグする。
ほんとすごいよ。
なのに…なんで僕はなんにも言えないんだろう。
隣を見ると翔くんがゆっくり立ち上がって相葉ちゃんに歩み寄る。
「ふふふ、なんて顔してんだよ?雅紀。
すげーじゃん!単独だよ?
お前一人で司会なんて…凄すぎだろ!
んなしけた顔してんなよ。
大丈夫、お前ならやれるから!
ね?智くん?」
翔くんの声に我に返る。
「え?あっあ、うん。
大丈夫!大丈夫だよ、相葉ちゃんなら」
そう言いながらも心はどこか違うところに居て…。
みんなが相葉ちゃんを囲んでるのに…僕はその場から動けなかった。
相葉ちゃんと僕との物理的な距離はまるで今の心の距離を示してるみたいだった。