第20章 Sweeter than SWEETS
結局、僕達がそのことを知ったのは札幌に入った日のリハ後だった。
札幌のプロモーターが用意してくれたジンギスカンのお店。
すでに準備が整った個室に通された僕達。
マネージャーたちはまだ、やることがあると言って同席はしなかった。
明日から本番が始まるからお酒は軽く…と決めて乾杯した直後だった。
相葉ちゃんが真剣な顔で僕達をみた。
「ごめん、少し…いい?」
思い詰めたようなその顔は…昨日見た表情とよく似ていた。
「…ん?どうしたの?相葉ちゃん?」
いつもなら真っ先にツッコミそうなニノが相葉ちゃんの表情に引きづられたのか硬い顔をして黙ってる。
その空気を壊すのは僕の役目の気がして…敢えてなんにも気付かないような顔で相葉ちゃんに答えた。
「うん…。
あのね、みんなにさ、話さないといけないことが…あってさ…」
それだけ言うとまた黙った相葉ちゃんは手にしてたグラスの中身を一気に飲むと一息ついて大きくはないけどよく通る声で切り出した。
「あのね…先週、副社長に呼ばれたの。
NHKでの収録の後だったんだけどね…。
でね……。
あのっ、ごめっ、なんでだか…
なんでだかわかんないけど…
俺…
紅白の司会に……選ばれた……。
ごめんっ…俺…ひとり…だけ……」
そこまで言うと相葉ちゃんは…体を半分に折り曲げるようにすごい勢いで僕達に頭を下げた。