第20章 Sweeter than SWEETS
「そう言ってもらえるとありがたいけど…無茶はするなよ?
お前ら限界こえて頑張りすぎるから…」
「でもさ。そうしなきゃいけない時でしょ?
だから平気だよ?」
仕事もらえるだけでありがたいんだから…辛いなんて言ったら罰が当たる。
「だからって倒れたら元も子もないだろ?
ちゃんとあいつ等に伝えろよ?
あいつ等ならちゃんとフォローしてくれるし、相葉も甘えられるだろ?」
「でも…みんなだって忙しいよ?
ほら、嵐さん売れっ子だから」
みんなに頼れってチーフは言うけど…それじゃ、俺、いつまで経っても成長できないじゃん?
そうだよ、成長出来ないんだよ…。
そう思ったら…ぎりぎりまで言えないって気がついたんだ。
自分が成長するために…みんなに頼らずにやり遂げてみせる。
そう心に誓う俺になんか言いたそうな顔のチーフ。
だけど…チーフが何かを言おうとした瞬間携帯の着信音が響いた。
「ごめん、電話だわ…」
チーフが頭を下げて楽屋を出て行く。
それを見送りながら俺は解禁直前までみんなに言わないって決めた。
話が来たときに感じた罪悪感は俺の中に芽生えた変な使命感の前に儚く消えていった。
チーフが戻ってくるよりも前にスタッフさんが呼びに来る。
それに頷くと今日の仕事をこなすため用意されたブースに入りナレーションを録ることに集中した。