第20章 Sweeter than SWEETS
「いただきます!」
俺は遠慮なくその弁当に手を付けた。
「食べながらでいいから聞いてて」
チーフの言葉に頷くと彼は話し始めた。
「まずは紅白単独司会決定おめでとう」
「まだ決定じゃないでしょ…」
思わずつっこむ。
だってさ、正直、紅白絡みの報道はくるくる変わる。
つまりそれぐらい目まぐるしく色んな事が決まっては覆されてるだと思う。
どこでどんな横やりが入るかわからないんだから…。
「いや、決定だよ。
今回、うちの事務所は受ける予定はなかったんだ…。
ほら…あれが……な?」
チーフの濁していることの中身はわかる。
「最初は副社長は井ノ原くんで考えてたんだけど…。
NHK側がそれに首を振らなかった。
で、次は嵐全員でって話になったけど最近の報道絡みで…。
これまた…ってところで向こうがお前を指名してきたんだ…。
それに副社長が乗ったんだよ。
『承諾したら決定で』って条件で。
だからこれは覆らない。
相葉が承諾した時点で決定事項なんだ」
言い切ったチーフと目が合う。
チーフがなぜか申し訳なさそうな顔で俺を見た。
「相葉には申し訳ないんだけど…こんな時期の決定だからスケジュールの調整が難しいんだ。
いつもよりも更に忙しくなるから…」
「大丈夫。
それは受けた時点で覚悟はしてたから。
きっと、なんとか…なるよ…うん」
自信はないけど…そう口から溢れてた。