第5章 旧い夢 【悪い夢 side S】
翌日、仕事が終わって病院に向かう。
相葉ちゃんもニノも潤くんも
それぞれの仕事が終わり次第
来ることになっている。
部屋に入ると智くんは目を瞑ったまま
ベッドに横たわっていた。
もともと白い顔がさらに白い…。
時々、うわ言のような
小さな声が聞こえた…。
部屋はブラインドが閉まってて薄暗い。
時間の経過を忘れそうになる。
規則正しい電子音だけが響く。
携帯が震えた。
ほかのみんなが着いたみたい。
裏口に迎えにいく。
みんな表情が暗い。
当たり前か…。
N:「大野さん、目、覚ました?」
「まだ…」
言葉が続かない。
とにかく少しでも側にいたくて、
智くんの病室に急ぐ。
ドアを開けてベッドを見ると
智くんの姿がない。
規則正しく響いていた電子音が
悲鳴のような音をたてている。
部屋の隅に人影。
智くん?
キラリとなにかが光る。
次の瞬間、体が動いていた。
智くんの手にある光を力づくで剥ぎ取る。
『カラン』という音。
O:「おねがい……おねがいだから
………死なせて………」
智くんが泣きながら呟く。
どこか違う世界を見ている智くん。
ねぇ、智くん、どこ見てるの?
俺たちここにいるよ。
「智くんのバカ!」
そう言いながら智くんの頬を叩いてた。
気づいてよ!ここにいるのに。
一人でどこかに行かないでよ…。