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しあわせはここにある【気象系BL小説】

第20章 Sweeter than SWEETS




軽やかな音を立てて目的の階に着いたことを知らせるエレベーター。

扉が開いたので体を滑らせ、教えられた部屋に向かって歩き出す。

毛足の長いカーペットに足が取られそうだよ。

昨日、話を聞いた部屋の前に着くとタイミングよく、チーフが現れた。


「おはよう…副社長、中にいるから…。

 自分の口から伝えたほうがいいだろ?

 俺からはまだ、伝えてないから」


そう言われて俺はひとつ頷いた。

ノックをしたチーフが中からの微かな声にその重そうな扉を開いた。

東京の街並みを背に副社長が座ってた。


「おはよう。結論は出たかしら?」


昔はタレントだったらしい副社長が綺麗な笑顔を向けた。


すーっと息を吸って副社長に自分の決意を伝える。


「ありがとう、引き受けてくれて。

 色んな事情がある中だから正直
 やりづらいかもしれないけど出来るだけ
 マスコミは抑えるしこういう時だからこそ、
 貴方に頑張って欲しいの。

 NHK側もね、貴方を望んでる。

 貴方の司会としては手垢の付いてない
 そのイメージが大事なのよ」


副社長の言葉になんとなくなんで翔ちゃんじゃなくて俺なのかが、わかった気がした。

翔ちゃん、日テレで長時間の歌番組の司会やってるから…。

それをイメージされるのをNHKが嫌がったんだろう。

で、4月からNHKで番組を持った俺にオファーが来たんだ、きっと。

しかも、紅組が架純ちゃんだし…。

大人の事情が透けて見える。

でも…それでも構わない。

きっとこれも俺の経験に…武器に…なるから。


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