第19章 DESPERATE
二宮side
俺の作ったオムライスを頬張りながら
ちょっと寂しそうな顔をする智。
「智?口にあわなかった?」
O:「え?そんなことないよ?
すごくおいしい!」
「トレーニング…つらい?
映画…なんか問題あるの?
だから行ったの?」
O:「問題は…ないよ。
トレーニングも…平気。
…うん、もう大丈夫…。
きっと…大丈夫だから…。
もう今年は行かないよ…釣り。
心配させてごめんね」
やっぱり寂しそうな顔をする智。
なんかこっちが悪いことをした
気分になる。
「ちゃんと言ってからなら…」
思わず出た言葉を智がさえぎる。
O:「違う…そういう意味で
言ったんじゃないの。
自分が…自分がね
和たちの立場になったらって
想像したら…おいら…」
「智?泣いてるの?」
O:「泣いてない!泣いてないもん」
そのままオムライスをかき込む智。
O;「ごちそうさまでした!」
そういってそのまま
リビングを出てしまった。
智の様子が気になったけど…。
あえて構うのをやめて、
自分の皿の上のオムライスを食べた。
「うん、うまいわ。
やっぱ、俺、天才かも…」
誰も聞いてないのにひとりごちた。
食べ終わった皿を
キッチンに持っていき
シンクの蛇口をひねる。
スポンジに洗剤をつけて
皿を洗い始めた。