第19章 DESPERATE
二宮side
甘くなる智の声に
調子に乗りすぎたかも…。
鏡越しに映る智の表情を見て悟る。
これ以上はダメだな…。
「ごめん、智。
もうしないよ?」
シャワーヘッドを手に取り
ゆっくりと体中の泡を洗い流す。
「髪の毛、洗ってあげる…」
智の頬に小さくキスを落として
そう言うと素直に頷く智。
「意地悪して、ごめんね?」
そう言うと智は上目遣いで
俺を見る。
O:「お昼…作ってくれたら
許してあげる」
照れたように目を伏せた智に
ランチを作ることを約束して
そのまま風呂の続きをした。
ぬるめに張ったお湯。
二人して黙ったまま、
自分たちの鼓動で揺れる
水面をみてた。
沈黙は嫌なものではなくて…。
バスタブの中で抱きしめた智が
こっちを向く。
その唇に無言のままそっと
自分の唇を落とした。
何度も何度も触れ合う唇。
そこに性的な要素は欠片もなく
ただお互いを癒やすような
優しいキス。
そのままずっと
そうしていたかったけど
あんまり湯船に浸かってると
ぬるくても智がのぼせちゃうから
声をかけて風呂から出た。
風呂上がりに水分補給をしながら
お互いの髪の毛を交互に乾かす。
O:「和、動くなよ…
乾かしづらいじゃん」
「だってくすぐったいんだもん」
ふざけながら乾かしてたら
なんだかいつもみたいな空気に
なってきて妙に安心した。
「お昼、作ってきますから…
待っててくださいね?」
小さい子にやるみたいに
頭をポンポンと叩いて
キッチンに向かった。