第19章 DESPERATE
大野side
「翔ちゃん…?
なに…いってるの…?」
S:「智くん、
なかなか素敵な恰好してるね?
もうお薬…効いてきたの?」
N:「どうでしょうね?
この薬はなぜか素直な人ほど
効きやすいみたいなので…。
この人は案外早く
効くかもしれないですね。
さっきから息が上がってるし…」
S:「あぁほんとだ…。
智くんだいぶ息が上がってるね。
ニノ、もうちょっと、
ズームできる?」
N:「ええ、できますよ?
こんな感じでどうですか?」
和が何かを弄ったんだと思う。
「お、いいね」っていう
翔ちゃんの声が聞こえた。
部屋に響く翔ちゃんの声。
どういう仕組みかわからないけど
この部屋の様子が
翔ちゃんに見えてるみたいで…。
N:「智?ほら前のモニターみて?
右端に映ってるの、わかる?」
和がおいらのあごに手を掛けて
視線をモニターに向けさせる。
大型モニターに映る翔ちゃんの
顔の右下のほうに
ワイプ画面があって…。
そこに和に抱かれる
おいらの姿が映ってた。
「…なん…で…?
な…に…これ…、
どう…な…ってるの?」
N:「スカイプで海外にいる翔ちゃんと
回線を繋いだだけですよ?
ほら、あそこのカメラ…。
あれが映す映像がリアルタイムで
翔ちゃんのところに流れてるの。
こうすればズームもロングも
自在です」
和の手の中に
小さな箱が握られていた。