第19章 DESPERATE
大野side
スイッチの音が聞こえた背後に
首を回す…。
ベッドの足元のほうの壁に
埋め込まれたように置かれる
和の部屋のモニターの一つが
光ってた。
「え?…なに?…なんで…」
モニターに映った人の姿に
驚いて息が詰まる。
和がゆっくりとその人物に
話しかけた。
N:「翔ちゃん!お疲れ!
そっち終わったの?」
S:「ニノ、お疲れ。
ロケはもっと前に終わったよ。
今は軽い打ち上げも終わって
さっき部屋に引き上げてきて、
ようやく人心地つけそうだよ」
和が翔ちゃんとしゃべりながら
おいらの体を反転させ
背後から抱きしめる。
モニターに映る翔ちゃんは
濡れた髪をタオルで
ガシガシ拭ってる。
その翔ちゃんとモニター越しに
目が合う。
翔ちゃんの視線に射すくめられる。
その視線から逃れることが出来ず
そのうえ和によってじりじりと
熱が高まる気がする。
体の位置が変えられても
和の手の動きは変わらない。
翔ちゃんと普通に話しながらも
和の手は動き続け
時折おいらの胸を掠め
そのたびに息を飲む。
決定的な刺激は与えられず
躰がどんどん焦れていくのがわかる。
S:「智くん…心配したんだよ?
海に落ちたなんて…。
釣り行くなんて聞いてなかったし
マネから一報を聞いた時は
仕事投げ出して
日本に戻ろうかと思ったよ。
でも無事でよかった。
心配かけた分は
ちゃんと償おうね?
俺も手伝ってあげるから…」
モニター越しの翔ちゃんの顔に
和と同じ微笑が浮かんだ。