第19章 DESPERATE
大野side
N:「なんで逃げようとするんですか?」
和の声が冷たく響く。
「でも…和…怒ってるもん。
おいらこんなの嫌だよ…」
どうしてわかってくれないの?
もぞもぞと動きながら
なんとか逃げようとするけど
和がおいらを抱きしめる力のほうが強くて…。
N:「大野さん、喉、乾いたでしょ?
口、開けて?」
相変わらず会話が噛み合わないけど
ここで逆らっても意味がないし
確かに喉も乾いてたから素直に口を開ける。
和が口移しで注ぐ水を飲み込む。
生温い水がのどを通る。
「んん?」
喉を水と一緒になにかが通った。
N:「あぁ、ちゃんと飲み込めた
みたいですね?」
「和…なに…?
なんか硬いものが…」
飲み込んだなにか…。
錠剤の…ようなもの…。
嫌な予感がする…。
不安な気持ちのまま、和をみる。
にっこりと笑う和。
N:「ふふふ、わかってるんでしょ?
あれは……
貴方を気持ちよくしてくれる
お薬…ですよ?」
「嘘…なんで?」
だって…和だって知ってるはずだ。
おいらがあいつらにされたことを…。
なのに…なんで?
N:「だって…貴方、自分のこと
大事にしないじゃないですか?
どうでもいいんでしょ?
なら…私がなにをしても
文句ないでしょ?」
和の目が…冷たく光った。