第19章 DESPERATE
二宮side
最後の一言が効いたのか
驚いたような顔で俺を見る智。
その表情が事の重大性を
理解してなかったと言っている。
「ねえ、そもそもなんであなたは
私達との約束を破って
船に乗ってたの?」
一つ一つ解いていかないと
おなじことが繰り返される気がして
コトの経緯を確認する。
O:「…約束…破ってごめん。
でも、行くつもりはなかったんだ!
ただ今日も波が良さそうだったから
船で出れなくても海が見たくて…。
作品と作品の谷間で…
自分の中で切り替えをしたくて…。
ぼーっと海を見て前の役を棄てて
新しい役を入れたいと思って…。
そしたら馴染みの船宿の船長に、
会っちゃって…。
キャンセルが入って
一枠あるって言われて…。
ああいう商売って
人が乗らないと儲からないの
知ってるから…。
でも竿とかなんも持ってないし
断ろうとしたら、
竿も貸すから是非にって…。
船長の顔見たら断れなくて…。
結局……乗ったんだ…」
なるほどね…。
事情はなんとなくわかったけど…。
「理由は…わかりました…。
で、なんで落ちたんですか?
…海に……」
智の表情が曇り、目がキョドってる。
なんだ?
まだなんかあるのか?