第19章 DESPERATE
二宮side
事務所の一室で智がチーフマネに
叱られてる。
でも…多分、響いてない。
殊勝気な顔で聞いてるけど…
本心じゃなんで叱られてるか
解ってないよ…あれ。
そんなのは多分、チーフもわかってる。
それでもあの人は立場上、
言わない訳にはいかないわけで…。
でもそろそろ、助け舟、
出したほうがいいよな…。
チーフも忙しいだろうし…。
チーフが話すだけ話したところで
チーフに視線を向け、
発言の許可をとる。
小さく頷いたチーフ。
それを受けて声を出した。
「大野さん、あのさ、私たちね、
すごく心配したの。
貴方が海に落ちたって聞いたときね
心臓が止まるぐらい驚いたの。
まさか釣りに行ってるなんて
思わなかったし、
状況もわかんないし…。
釣りが貴方の趣味だっていうのは
すごく良くわかってる。
だから、別にね黙って行っても…って
思う気持ちもわかるよ?
趣味ぐらい自由にやらせろっていう
気持ちもわかるよ…。
でもさ、その趣味で怪我したり
命が危険になったりしたら
駄目でしょ?
私達は芸能界って特殊な世界にいて
そこで、仕事してるんだから…
自分自身が商売道具なんだから…
それを損なうようなことは
本来、するべきじゃないんだよ…。
もし貴方に何かあったら…
悲しむのも困るのも
貴方だけじゃないんだ…。
嵐そのものに危機が訪れるんだよ?
大野さんの大好きな
嵐が傷つくんだよ…?」