第19章 DESPERATE
二宮side
看護師がタイミングよく終った
点滴の処置をして部屋を出る。
明日の検査に使うかもと
腕に針を留置されたままの智の手を
そっと握る。
言いたいことは山ほどあったけど
目覚めた智に…その声に…
安堵の気持ちが勝って…。
手を智の頬に移動させて包み込む。
「智…心配したんだよ?
無事で…良かった……。
疲れてるでしょ?
傍にいるから…寝よう?」
O:「和…おいら……」
「いいから…、今はいいから…」
尚も何かを言おうとする智の口を塞ぐ。
静かすぎる病室に
水音とリップ音が響く。
智の頭を掻き抱き、何度も何度も
口づけを交わす。
智の体から力が抜けるのを感じて
ゆっくりとベッドに体を横たえる。
軽いキスを何度も落とし、
トロトロと眠りに落ちる智の髪を
撫で続けた……。
結局、翌朝の診察でも問題なく、
様子を見に来たチーフに
先生が話をした後、無事に退院できた。
チーフの車で一旦、家に戻って
シャワーを浴びて再びチーフの運転で
都内のスタジオに入った。
チーフが昨日調整してくれたお陰で
少し慌ただしかったものの
予定していたCM撮影は無事に終った。
ホッとしたのも束の間、
智がチーフに事務所へと連行された。
二宮は帰っていいって言われたけど
そんなに気もなれず、
一緒に事務所に行くことにした。