第19章 DESPERATE
二宮side
人気のない外来ロビー。
非常口の緑の灯りと
ガラス越しの街灯の明かりだけが
だだっ広い空間を照らす。
その中で強い光を放ったスマホに
縋りつく思いで、その電話を受けた。
S:『もしもし?ニノ?俺だけど…』
耳元で響く少し低めの落ち着いた声。
それだけで安心感に包まれて、
そばのベンチタイプの椅子に座り込む。
「翔ちゃん…」
S:『ニノ?大丈夫か?今どこ?』
「病院のロビー……にいます』
S:『そっかぁ…。
あっごめん、そっち、
もしかしなくても深夜だよな?』
「うん、まもなく1時。
でも…大丈夫だから…」
いつも聞いてる声が聞こえるだけで
安堵から涙が零れそうになる。
唇を噛み締めてなんとか堪える。
S:『そっかぁ。
チーフから連絡もらった。
ごめんな、
こんな時に傍に居なくて。
ニノ一人だろ?東京にいるの』
頷いたって見えないのに黙って頷く。
S:『本当はすぐにでも
帰りたんだけど…』
わかってるよ、翔ちゃん。
潤くんも撮影でまだ戻って来ないし
まーくんもバラエティの収録で
しばらく返ってこれない。
コンサート前に撮り溜めしてるの、
知ってるし…。
「大丈夫…だよ。
一人で平気…。
智にはちゃんと言っておくから…」
S:『ニノ?わかってるとは思うけど…
これはお前のせいじゃないからな?
自分を責めるなよ?』
翔ちゃんの暖かい声音が沁みた。