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しあわせはここにある【気象系BL小説】

第19章 DESPERATE


二宮side


その後、先生は点滴の確認だけして
部屋を出ていった。


部屋の隅で電話をしてたチーフも
気がつけばいなくて…。

部屋には点滴の滴下速度を管理する
機械が発する規則正しい音と
うっすら聞こえる
智の呼吸音だけが聞こえる。

改めて部屋の中を見回す。

あの時とは違ってホテルみたいな
雰囲気になっている。

ベッドも必要に応じて
柵は付けられるんだろうけど
今は見当たらず
ベッドベッドも木調で
ナースコールのボタンやら
酸素吸入用の差込口がなければ
ホテルと変わらない。

正直ほっとした。

この病院に来て思い出すのは
あの時のこと。

自分ですらそうなんだ。

当事者の智は…。

しかもあの時のように目覚めたら
ベッドの上で点滴されて…。

パニックを起こすんじゃないかと
想像しただけで苦しかった。

でも…雰囲気の変わった病室。

それだけでも負担が減るんじゃないかと
思うと安堵のため息がでた。

ねぇ、ちょっとでいいから
目、開けてよ?

それだけで安心できるからさぁ…。

額に掛かる髪の毛をあげる。

ねぇ、声聞かせてよ…。

いつもみたいに呼んでよ、俺のこと。

静かすぎる部屋に
一人でいるのが辛くて、
智の存在を少しでも感じたくて
ベッドの上に放り投げられた手を握り
智の布団に頭を載せた。

そのまま不安から逃げるように
眠ってしまった…。






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