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しあわせはここにある【気象系BL小説】

第19章 DESPERATE


二宮side


事務所が懇意にしているこの病院に
何度足を運んだだろう?

いつものように裏口から入り
智のいる部屋に急ぐ。

10階の特別病棟…。
あのときと変わらない場所へ向かう。

扉を開くと点滴のチューブを腕につけ
眠る智がいた。

感情のまま駆け寄る俺をチーフは
止めなかった。

布団から出た手をぎゅっと握ると
温かくて…。

ホッとしてそのままベッドサイドの
丸椅子に座り込む。

そんなに、間を開けずに主治医と
思われる医者が入ってきて
搬送時のことや、海に落ちた時のこと
そして明日以降の話をしてくれた。


搬送時に意識の混濁が見られたから
心配なのもあるので検査をするという。

それで問題なければ退院していいって。

そこまで聞いたチーフが部屋の隅で
あっちこっちに電話を始めた。


先生の話を聞いてようやく少し
落ち着いた俺は改めて部屋の中を
観察した。

あの時とは違う印象の部屋。


「あの…この部屋って…。

 なんか印象が…」


それしか言えない俺に先生は
にっこり笑った。


医:「数年前に
   全面リニューアルしたんですよ。

   なんでも多額の寄付があって
   以前のいかにも病室といった
   内装から、親しみやすいものに
   変更になったそうです」


「そう…なんですか?

 きっと、使う方は喜ばれますね」


それだけ言って自分から振った話を
無理矢理終わらせた。



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