第18章 Will never let you go…
櫻井side
見事なまでの4幅の人物画。
当たり前だけど俺たちが
個展用に描いた智くんの顔とは違う。
巨大なあの絵とは違い、A3サイズの
キャンバスに描かれた俺たちの絵は
右も左も描かれている。
タッチは変わらない…と思う。
力強い筆でミニマムの線が
俺たちの顔を形どっている。
あまりの迫力にすごいとしか
言えなかった。
それぞれのメンバーカラーを
メインにしつつ、きちんと5色の線が
キャンバスの上を舞っていた。
「智くん…これ…」
話しかけた俺の声に雅紀の腕から
ゆっくりと身を離した智くんが
可愛く頷く。
O:「うん…。
あんなことがあって
みんなに散々迷惑かけて、
ぐちゃぐちゃになって…。
みんながそれでも
おいらを包んでくれて…。
自分をきちんと省みなくちゃって
思ったとき…
自分の顔を描こうと思って…。
今の自分を…
表に見える顔をつくってるのは
自分だけじゃなくて…
みんなの気持ちとか愛情とか
そういういろんなものだって
思ったから…
みんなの写真を見ながら
自分の顔を描いたんだ。
で、みんなの顔をずっと見てたら
描きたいなぁって思って…。
素直な気持ちのまま、
筆を滑らせたの。
すごく気持ちよくて…。
楽しんで描けたんだ。
だからね、みんなに受け取って…
もらえたら…嬉しいな…」