第18章 Will never let you go…
櫻井side
智くんがアトリエ替わり使ってる
部屋に5人で入る。
8畳ちょっとのその部屋は白い壁に
北側の上の方にある窓が印象的で…。
N:「この部屋、意外におしゃれなのに
なんで明かりだけ
あんなに教室っぽいの?」
「教室……っぽいね、確かに」
言われて見上げた天井には直管の
蛍光灯が剥き出しで添えつけてあった。
他の部屋の照明とは明らかに違う。
O:「それね、
ちょっと特殊な蛍光灯なの。
でもね、色が狂わないからいいって
教えてもらったの。
自然光に近いんだって。
だから夜描いた時と
昼間見た時の印象が
変わることもなくて便利なの」
珍しく饒舌な智くん。
そこに智くんなりのこだわりがみえた。
M:「そろそろ見せてよ!
完成したやつ!」
潤が珍しく智くんを急かしてる。
それほど楽しみなんだろうな…。
O:「ふふふ、待たせてごめんね?
これだよ」
智くんが巨大なキャンバスの前にあった
ロールカーテンを上げた。
そこにあったのは人物画。
以前描いていたようなデフォルメの
効いた漫画調の物ではなく
絵画というのがしっくりくる絵だった。
白いキャンバスに線で描かれた人物画。
「これ…智くん?」
つぶやくように言った俺に
智くんは無言で頷いた。