第18章 Will never let you go…
大野side
なんだろう、ふわふわする。
まるで揺りかごに乗ってるみたいに
ゆらゆら揺れてきもちいい。
よく知ってる声が聴こえる…。
頭がボーッとしてて
何を話してるかわからないけど
すごく楽しそうで幸せそうで
心が温かくなる。
ずーっと寒かった。
一人で凍えてた。
寂しくて辛くて…。
ん?なんだろう、
温かいものに包まれる感じがする。
気持ちいい…このままずっと…。
そう思ったおいらの耳に
また声が聴こえる。
翔くんの声だ…。
S:「智くん?起きれる?
身体、洗うよ?」
ゆっくりと瞼を開くと
明るい空間が開ける。
腕を動かすと聞こえる水音。
S:「起こしてごめんね?
身体、大丈夫?
辛いところとか
痛いところとかない?」
矢継ぎ早な翔くんの質問に
頭がついていかない。
ボーッとしたまま声の聞こえた
背中の方に顔を向けると
心配そうな顔をした翔くんがいた。
「ん、へいき…」
S:「じゃ、起きて?」
起きてるよ?うん、僕起きてるのに…。
まだゆらゆらする意識。
あぁ…ここお風呂だ。
翔くんに後ろから支えられて
湯船に浸かってるんだ…。
少しずつ状況がつかめてくる。
「しょう…く…あり…がとぅ」
S:「智くん?寝ないで?起きて?
身体、綺麗にしよう?」
翔くんの声を遠くで聞きながら
前にもこんなことがあった気がして…。