第18章 Will never let you go…
二宮side
二人でコントローラーを握って
赤いひげのおじさんでレースしたり
烏賊もどきを操って
ペンキを塗りまくったりしたけど…。
しまったと思った。
そうだよ、この人熱あるんだった。
「大野さん、すいません。
あなた、熱があるんだよね?
ごめん、部屋で休む?」
O:「ううん、へいきだよ?
ねつ、ないもん。
ねーニノ?
ここにいちゃだめ?」
「いや、構わないですが…。
じゃ、せめて冷えピタだけして?」
精神的なものから来た熱だろうから
解熱剤なんて意味はないと思う。
だから薬を飲む必要はないと思うけど
せめて少しでも楽になるように
物理的に冷やしてあげたくて…。
下に取りに行こうと
セーブして立ち上がった。
O:「え?ニノ?行っちゃうの?」
不安そうな目をして俺を見る。
「すぐ戻るから…ね?
いい子で待ってて?ね?」
O:「やだ……………かず、行かないで?
……そばに……ぃて?」
小さな声だったけどそれは間違いなく
大野さんの意志だった。
ずっと自分の気持ちを飲み込んでた
この人がようやく自分の想いを
素直に示してくれたことが嬉しくて…。
「わかった、行かないよ?」
そのままスマホの画面に指を滑らせ
下にいる潤くんにヘルプをお願いした。
ようやく、意志を表に出したこの人の
気持ちを…踏みにじりたくなかったから…。