第4章 悪い夢 side O
部屋に静寂が戻る。
誰も言葉を発しなかった。
俺は今度こそダメだと思った。
さっき見た夢みたいにみんなに呆れられ
仲間でいられなくなると思った。
目から涙がこぼれる。
でも自業自得だと思った。
翔ちゃんが静かに
俺のベッドサイドに近づく。
腕を振り上げた翔ちゃんを見て
殴られると思って
体がびくっとして硬直する。
でも次の瞬間…
翔ちゃんに抱きしめられていた。
翔ちゃんはいままで見たことのないような
苦しそうな顔をして俺を見た。
そして言った。
S:「ごめんね、智くん。
ずっと苦しんでたんだよね。
気づけなくてごめん…。
あんなことがあって
平気でいられるわけないよね。
でも…俺たちのこと、嵐のことを考えて
頑張ってくれてたんだよね。
まだ辛かったんだよね?
でも誰にも言えずに頑張るために
薬…飲んでたんだよね?」
翔ちゃんは泣いてた。
翔ちゃんの涙が俺の握った拳に落ちる。
なんで翔ちゃんが謝るの?
おれのせいなのに…。
S:「智くん、リーダーだからって
ずっと頑張って我慢してたんだよね?
あんな苦しい思いも
辛い思いをしてた時も…
俺たちのために耐えてたんだよね…。
今も…」
翔ちゃんは何かを決意したような顔で
俺をみた。
S:「智くん、俺と一緒に暮らさない?
さっき、先生が言ってたでしょ?
誰かと住んで薬とか
コントロールしようって。
1人でいたら苦しいことも
2人だったらきっとなんとかできるよ。
嫌な夢を見たら起こしてあげられるし、
眠れないときは一緒に起きてればいい。
今度は俺が頑張るから…。
智くんひとりに無理させないから…」