第4章 悪い夢 side O
先生は俺を見ながら言う。
医:「ご自身でもわかってますよね?
処方量を明らかに越えた
服用をされてましたよね?
確認したところ今までに
処方された量と服用された量を
考えると正直、軽度から中度の
依存症といえると思います。
本来なら入院治療を
お勧めするところですが…
お仕事を考えると難しいですよね?
ただ一人で暮らされるの
経験上いいとは言えません。
一度ご家族などで話し合って
どなたかと一緒に生活して、
服用量のコントロールと
減薬をしていきましょう」
そう言った先生の顔をじーっと見ているしか
出来なかった俺。
先生は更に続けた。
医:「大野さん、いまならまだ
十分に間に合います。
薬に頼らない方法を考えましょう。
大丈夫ですよ。
大野さんには素敵なお仲間が
いるようですし…。
きっと大丈夫ですよ」
先生の話を聞きながら俺はみんなの顔を
一瞬だけ見た。
正直、申し訳ない気持ちと
薬のことがばれたことに対する
気まずい思いで顔がきちんと見れなかった。
医:「落ち着いたら、
帰宅して大丈夫ですよ。
今、処方されているものは
量と回数を確実に守れば服薬しても
大丈夫ですからね。
ただ、くれぐれも量を
まちがえないでくださいね。
次は命に関わりますよ?」
そう言ってから今度は
メンバーの方を向いて言う。
医:「もし皆さんでなにか話し合われるなら
このままこちらの部屋を
使ってもらって大丈夫ですよ。
扉を閉めれば
音も外に漏れませんから」
ドアに向かう先生の背に
ありがとうございましたと言う
声が重なった。