第4章 悪い夢 side O
潤くんと一緒に
先生と看護師さんが入ってくる。
先生に場所を空けるように
みんなは部屋の隅の方に移動して
こっちを見ていた。
先生は軽く診察して
丁度終わりかけていた点滴の処置をした。
針が抜かれて腕が自由になる。
看護師さんが点滴を持って部屋を出て行き、
先生が枕元のリモコンを操作した。
ベッドが動いて俺はベッドに背を預けたまま座る姿勢になる。
先生はおじいちゃんと言って
差し支えないように見えた。
優しい光を湛えた目で俺をじっと見る。
医:「大野さん、気分はどうですか?」
「とりあえず気持ち悪さとかは
なくなりました」
医:「それはよかった。
今回、倒れた原因は直接的には
番組で飲まれたハーブティーです。
ハーブティーには薬と同じような
成分が含まれていることがあります。
例えば血圧を上げたり、下げたり、
特定の薬の効力を弱めたり、
逆に強く反応させたり…。
今回、大野さんが飲まれた
お茶に含まれた成分が
大野さんが飲んでいた精神安定剤の
効果を過剰に引き出してしまい
急性の中毒症状を引き起こしたと
考えられます」
先生は俺はもとより
メンバーにも聞かせるように話を続けた。
医:「失礼ながら大野さんの鞄の中を
拝見しました。
中にあった精神安定剤、
あれは処方されたものですね?」
「はい」
おれは頷く。
医:「お財布の中にかなりの数の
診察券がありましたが…あれは
薬を処方してもらうためですか?」
きっと全部わかってるんだよなぁ…。
俺は観念したようにうなずいた。