第18章 Will never let you go…
大野side
苦しくて苦しくてどうかなりそうだった。
必死に藻掻くおいらを救ってくれたのは
翔くんの声だった。
翔くんの声がおいらの耳に響いて
怖いばかりの世界が少しずつ変わっていく。
ようやく視界に入った翔くんの顔をみて
凄くホッとした。
そしたら今度は体が重くなって…。
翔くんはそのまま、それに従っていいって
言うけど怖くて怖くて
おいらはそれを必死で拒否する。
散々我が儘をいうおいらに翔くんは根気よく何度も声をかけながら体温を伝えてくる。
暖かさに包まれておいらは闇の中に沈んでいく。
でもさっきみたいな恐怖はなくて…。
次に気がついた時、おいらは翔ちゃんの膝の上にいた。
申し訳なくてあわてて体を起こそうとしたけど、自分の体が思った以上に重くってそれも出来ずにのろのろと身を起こす。
翔ちゃんが心配そうに声を掛けてくる。
帰って来た時と同じ格好の翔ちゃん。
ごめん…着替えもせずにずっと付いててくれたんだよね?
「翔くんごめんね。
帰って来たばっかりなのに…
迷惑掛けて」
それしか言える言葉がなかった。
暗く沈みそうになる空気をなんとかしようと翔ちゃんが饒舌に喋る。
それすら申し訳なかった。
翔ちゃんと2人でいる時間がこんなに重いと思ったのは初めてかもしれない。
それほどのことをおいらはしたんだと改めて認識した。
翔ちゃんの言うことに答えることも出来ず俯いていると階下から凄い音が聞こえて来た。