第18章 Will never let you go…
櫻井side
智くんがいくら眠りに落ちるのを
嫌がっても体は正直で
しばらくすると寝息が聞こえてきた。
その様子にちょっと安心した。
寝れる時には寝てほしい。
もう少ししたらきっと
みんな戻ってくるから…
少しでも落ち着いていたでしょ?
智くんの年上としての
メンツもわかるから…。
膝の上の智くんの髪の毛を手で梳く。
こうやって智くんに触るのは
いつぶりだろう。
もういいよね?
みんな十分に傷ついたよ。
十分に反省もした。
そろそろ前を向いて歩き出してもいいよね?
この人の背中を押して
一歩進んでもいいよね?
じゃないとこの人潰れちゃうよ。
細くなった体に触れながら誰か判らない、
なにか判らないものに心の中で話しかける。
しばらくして
智くんのくぐもった声が聴こえた。
O:「んっ……んんっ」
「智くん?大丈夫だから…。
寝てていいよ?」
O:「しょぅ…ちゃん?」
ゆっくりと瞼が持ち上がり、
水気を含んだ瞳が見える。
「そうだよ。気分…どぉ?」
O:「…うん…だいじょうぶ」
そのままゆっくりと身を起こす智くん。
俺のことを見つめる瞳に滲む
暗い影をどうやったら
拭うことが出来るだろう。
O:「翔くんごめんね。
帰って来たばっかりなのに…
迷惑掛けて」
「なんで謝るの?
迷惑なんて思ってないよ?」
O:「でも…」
「もうすぐ和たちが帰ってくるよ?
今日は夕飯どうしようか?
潤にメッセおくろうか?
智くんリクエストある?」
少しでも早く日常に戻りたくて…
わざと話題を変えた。