第18章 Will never let you go…
大野Side
翔ちゃんと違っておいらは
みんなのスケジュールを把握してない。
だから今日も何時に誰が戻ってくるか
全然見当もつかなかった。
キッチンを綺麗にして、
ついでにお風呂も用意しておいた。
今の自分に出来ることさえ
わからなくなってる。
ちょっと前まで
ここで普通に生活していたはずなのに
その「普通」がわからない。
帰ってきたものの急に不安になってきた。
おいらここにいていいのかなぁ…。
社長は翔ちゃんが社長に会いに行って
おいらのことを話してくれたって言ってた。
よくよく考えればそこまでしてくれてる
みんなを疑うなんてありえないのに…。
すごく怖くなってきた。
でも今のおいらには逃げる場所も無いし、
それはやっちゃいけないこともわかってる。
どうしよう…。
どうしたらいいんだろう…。
壁にある時計の針は少しも進まない。
静かな部屋に秒針の進む音だけが響く。
こんなに時間が過ぎるのが遅いと
感じることは滅多にないと思う。
鎮まりきった部屋の中で、
何をしていいいかも判らず、
ただソファーの上で膝を抱えて、
時が過ぎるのを待っていた。
同じ時間が過ぎるのを待つのでも
ホテルで待っているのとは違う気がする。
ホテルで感じた空虚さは感じない。
でもその分、
なんとも言えない緊張感がある。
無限にも思える時間を断ち切るように
聞こえた音。
おいらは大きく深呼吸してその時を待った。