第18章 Will never let you go…
大野side
タクシーに乗り込み、家の近くで降りた。
一応周りを見回してから
素早く家に向かった。
もうどれ位ぶりだろう?
そんなこと忘れてしまうぐらい
久しぶりな気がする。
道路に面した側の壁には窓が無いから
中にみんながいるかは
ここからじゃわからない。
自分の家に帰るだけなのに…
ものすごくドキドキしてる。
目深に被ったキャップを直してもう一度、
周りを見回してから家に入る。
ガレージに車が停まってなかったから
みんなが居ないのがわかった。
ちょっとホッとしたような…
申し訳ないような複雑な気持ちのまま
ガレージの後ろにある玄関から中に入った。
久しぶりの家。
こんなに長い間、
ここに戻って来れないとはこれっぽちも
思っていなかった。
どんな顔をして
みんなに会えばいいんだろう?
キッチンに行ったらシンクに
マグカップが4つ置いてあった。
多分、朝、洗う時間がなかったんだよね?
部屋に持ってた荷物を置きに行き、
もう一度キッチンに戻って
マグカップを洗う。
1個1個丁寧に洗って綺麗に拭き上げて
食器棚の定位置に戻した。
それぞれのメンバーカラーのマグカップ。
1個だけ置かれていた青いマグカップの横に
綺麗にしたマグカップを並べる。
いつものように収まったカップを見て
なんだかすごくホッとした。
「ただいま…」
だれもいない部屋に小さく響くおいらの声。
しーんとしてても嬉しかった。
この空間に居られることが嬉しかった。