第18章 Will never let you go…
大野side
午前中はラジオの収録で横浜に行った。
10月のスペシャル編成用の内容で収録した。
去年のハワイの裏話が良かったからと
宮城に行く前から決まってた
コンサートの裏話。
収録前は苦しいかと思ってたけど…
一個一個、思い出しながら語った。
自分のせいで辛かったけど…。
でもみんなから貰った温もりも思い出されて
なんか思ったよりもずっと穏やかな気持ちで
喋ることが出来たと思う。
それが単純に嬉しかった。
横浜からの帰り道、マネージャーに言って
画材屋に寄る。
今なら少し描けるかもしれない。
あの部屋に一人でいるのは辛いけど…
それに慣れ始めてる自分がいる。
人間って想像以上にしたたかで
強い生き物なのかもしれない。
寄り道したお陰で遅くなった昼ごはん。
食欲は相変わらず無いけど…
食べないと心配されるのも分かってるから
無理矢理、口にいれる。
何割かでも食べれれば御の字。
そんな気持ちで口にする。
一人でする食事は虚しくて。
味なんか分からなくなってる。
自業自得。
そんな言葉が頭を巡る日々が続いてた。
なんとか食べ終わって、
当たり前のように襲い来る
吐き気をやり過ごしてた時に
部屋のチャイムが鳴った。
無視するわけにも行かなくて
のろのろと立ち上がって扉を開けた。
そこには…ここにいるはずのない人がいた。
「社長…」
キャップを深く被ったその人は微笑んだまま
おいらを見た。